#5294 心の動きをコピーをしてみた Sep. 29, 2024

 NHKラジオ英会話講座を利用して、昨年10月中旬から音読トレーニングをしています。今日で20,990回音読しました。

 今週の音読トレーニングのポイントは、「話者の心の動きをとレースしながら声に出すこと」にしていました。ナレーターのDavid Evansさんと 秋乃ろーざさんの朗読を聞いていると、物語の登場人物の心の動きが、声の表情としてはっきり出ているのです。この心の動きをコピーしないと、二人のナレーターの朗読にちっとも近づけないことに気がつきました。
 具体例で説明します。
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● 宇宙船オメガ・スリーのメーガンとアントンが、ロンドン近郊を歩いています。でも、それは彼らが知っているロンドンではありませんでした。


Megan Lets go to that tall building opposite the river.
Anton Its really old. In fact, all of the buildings are old-fashioned.
Megan Maybe this is some huge historical theme park or a movie set.
Anton Ill take some photos. Wheres my smartphone?
Megan The phone in your pocket is yours, right?
Anton Oh, right Commander!  Watch out for that horse and carriage!
Megan This cant be a movie set. Its way to real.
Anton I agree. Maybe weve traveled back in time?
Megan Come on, Anton! Stop joking.

<日本語訳>
Megan: 川の向こう岸にある、あの高い建物まで行きましょう。
Anton: とても古い建物ですね。そう言えば、他のどの建物も古めかしいです。
Megan: たぶん、歴史的な物を集めた大きなテーマパークあるいは映画のセットかもしれませんね。
Anton: 写真撮っておきます。僕のスマホはどこだったかな?
Megan: そのポケットに入っている携帯電話は、あなたのものじゃないですか?
Anton: ああ、そうです船長! あの馬車をよく見てください!
Megan: これは映画のセットなどではないわ。あまりにも本物のよう。
Anton: そのとおりです。もしかしたら、僕たちは過去に戻ってしまったのでしょうか?
Megan: まさか、アントン! 冗談はやめてちょうだい。
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 メーガンは宇宙船の船長で、アントンは操縦士です。火星へと飛び立ったのですが、途中で地球と通信が切れてタイムスリップして、宇宙船はなぜか英国のテムズ川河口へ着水します。
 アントンは宇宙船を操縦しながら、テムズ川を遡行します。そして景色がなんだかとっても古めかしいことに気がつきます。そう告げるアントンに、メーガンは映画のセットか大掛かりなテーマパークだろうと言いますが、心には不安が萌しています。なんだか景色の様子が古めかしくておかしいとメーガンも思っているのです。着水し、アントンが無線信号がまったく受信できないことを船長のメーガンに報告してから、不安が少しずつ大きくなっています。潜水艦機能もある宇宙船は河口を遡上し、適当な場所を見つけて二人は上陸します。アントンはスマホで写真を撮ろうとしますが、気が動転しているのか、自分のポケットにスマホが入っていることにすら気づかず、「スマホはどこ?」なんて頓珍漢なことを言い出しました。メーガンは「あなたのポケットの中にあるでしょ」と応じますが、アントンは平静に見えても実際はふだんとは様子が違っていると判断。想定外の状況ですから、上司であるメーガンの不安が伝わっています。
 そこへ人を載せる籠のついた馬車が疾走してきて、メーガンが轢かれそうになります。大声で「馬車が走ってくる、危ない!」とアントンが叫びます。メーガンが気づいて慌ててよけます。ビックリして素早く動いたので息が上がっています。そんなこともナレータは息遣いで表現しています。
 今度はメーガンも映画のセットではありえないことに気がつきました。「まるで本物のよう」と述べています。それを聞いてアントンが「タイムスリップしたのかもしれない!」と言います。メーガンはこんなときに冗談はやめてくれとアントンに哀願しています。状況がアントンの言う通りかもしれない可能性が出てきたので不安なのです。
 メーガンは宇宙船の船長ですから、今後の対策や方針をアントンに示し、何をすべきか指示しなければなりませんから、操縦士のアントンとは責任の重さが違います。そうしたことも、ナレーターお二人の声の表情から読み取れます。名人芸ですね。今までこうした細部には気がつけませんでした。音読2万回で耳がよくなっているようです。

 これは9/26放送のLesson 119のダイアログです。読むときに、心の動きを意識してみたら、いままでよりずっと本物らしくコピーできました。間の取り方とか、スクリプトにはないため息もコピーします

 音読するときには、登場人物の心の動きを意識しながら、プロのナレータの見事な技をコピーしてみましょう音読回数が20,000回を超えて、新たなステージが見えてきました

 音読の前に「Words & Phrases」に目を通します。それからナレータのお手本を聞きながら音読し、5回目くらいに心や感情のコピーがようやくできます。あとの35回は、いくぶんかボリウムを絞って心や感情の動きと音声の同調を身体に沁みこませていくだけです。

 ところで。音読回数のカウント方法を3日前から変更しています。ダイアログが約80 wordsですから、80 wordsを1単位として音読回数をカウントします。
 月曜日から木曜日まで、
 ダイアログ本文  80 words×40回=3200 words
 文法問題(3題) 40 words×40回=1600 words
 金曜日から日曜日まで
 ダイアログ本文 4つ×80 words×10回=3200 words
 週末問題2題  2題×40 words×30回=2400 words

 週当たり、
(3200+1600)×4日+(3200+2400)×3日=36,000 words
 36000words/80words=450回

 月単位に換算すると、1800回/月です。年間21,600回/年
 
 次の1年間で、もう少し上手になれるでしょう。大学時代の友人のH君は落研でした。落語のテープ聞いて一生懸命に真似していました。英語の音読も同じですね。ある企業の銀座本社で仕事していました。一関の呉服屋さんの長男だった、どうしているかな。
 40,000回をクリアしたときに、どういう景色が見られるのか、楽しみです(笑)

<余談-1:複合小説>
 物語が5話くらい同時進行しながら、関係をもってきます。
①考古学者がタイムカプセルを発見する物語、
②ロキシーという日系の娘ロキシーがジジババのいるロンドンへ留学する物語、
③アンドロイドをつくったスタイン博士とアンドロイドのジーニーの物語、
④ラーメンと将棋が好きな宇宙人が出てくる物語は、宇宙人のゼイトックスが地球を去り、東京でラーメン店を経営しているCarolynの物語へ進展しています、
⑤沖縄で観光客相手にビジネスを始め(ダグ)と(シホ)のカップルの物語、
⑥ピアノの先生であるストラビンスキーと生徒セイイチロウの物語、
⑦家庭教師のアオイと高校生の生徒であるレンジの物語、
⑧不動産営業をしているキャリアウーマンのバーバラの物語、
⑨同じ会社で働いているジョナスとヤヨイの物語...
 おやおや、ずいぶんたくさん同時進行していますね。いくつかが関係してつながっています。
 こんなに楽しい物語構成、どのように収束させるのでしょう。夢枕獏は『キマイラ』シリーズの登場人物それそれの別の物語を次々に書いていきましたが、やり方がどこか似ているように感じています。物語としても面白い。

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